手形を現金化する一般的な方法~手形割引とファクタリングの違い

手形の現金化にあたっては、いくつかの選択肢があります。方法によっては、手形の現金化によって資金繰り改善につながることも考えられます。今回は手形を現金化する一般的な方法について解説します。

手形を現金化する一般的な方法

  • 期日の満期まで待つ

手形を現金化する、最もスタンダードな手段は、支払期日の満期まで待つことです。手形は将来のある時点で支払いを約束した文書です。支払期日になれば、銀行等から約束の資金を受け取ることができます。

支払期日の満期は手形に記載されているので、名宛人(受取人)は、支払期日がきたら手形を持って、指定された銀行や金融機関等で手続きをします。銀行や金融機関等で、手形が有効かどうか、不渡りにならないかを確認してもらい、問題なければ名宛人(受取人)の口座に現金が支払われて換金(振出)完了となります。手続き完了から実際に現金が振り込まれるまでは3営業日以上かかるのが一般的です。

また、手形に指定された支払い場所(銀行、金融機関等)が他府県など遠方にある場合は、郵便で手形の現物を送り、手続きしてもらうことができます。

・満期まで待つ際の注意点

手形の現金化を満期まで待つ場合は、金融機関に手形を持っていく日数に気を付けましょう。手形を現金化できるのは、手形に記載されている支払い期日から3営業日以内と決まっているからです。さらに、手形を持参する銀行と、引き落としを行う銀行が異なる場合は、2営業日以内となっています。支払期日を過ぎると現金化できないので注意が必要です。

ただし、土日祝日はカウントされません。土日祝日に重なる場合は、休業日の日数分支払期間が延長されます。

・少しでも早く現金化するなら手形の取引時に交渉を

手形の支払期日は、振出人と名宛人(受取人)との合意で決定されます。一般的には1~4か月の期間で定められることが多いですが、1年以上後の長期で設定することも可能です。

ただ、資金繰りのために、少しでも早く手形を現金化できるようにするのであれば、手形を取り交わすときに相手方と交渉することをおすすめします。2か月を1か月にするのは難しいかもしれませんが、交渉次第で、支払期日を5か月先から3か月先まで短縮できる可能性はあるでしょう。

  • 金融機関に取り立ててもらう

原則として手形の現金化をする場合は、手形の現物を持参し、支払い手続きを行います。ですが、手形に指定された支払い場所が遠方にある場合は、取引銀行など金融機関を通じて現金化することも可能です。

金融機関に取り立ててもらう場合は、手形の裏面に取引を委任する旨の裏書を行い、窓口で「代金取立て依頼書」を記入し、取立手数料を支払います。金融機関側は手形を手形交換所に持ち込み、手形を振出した企業の支払い銀行から受け取った金額を、名宛人(受取人)の口座に振り込みます。

支払い場所が遠方にあり郵送する場合、郵送期間も支払い期限の3日に含まれます。郵送日数を考えると、支払期限を過ぎる可能性もあるので、金融機関に取り立ててもらうほうが確実な場合は利用するのがおすすめです。

・金融機関に取り立ててもらう場合の注意点

金融機関に取り立ててもらう場合、すぐに委任が完了するとは限りません。手形の支払期日から逆算して何日前までに取り立て依頼を出せば間に合うかは、事前に確認しておきましょう。金融機関によっては手形を期日まで管理し、期日が来たら自動的に取り立ててくれる場合もあるようです。合わせて聞いてみるといいでしょう。

また、取引銀行でも他支店では手続きできないケースが多いので、注意が必要です。

支払期日より前に手形の現金化を行う方法

  • 金融機関による手形割引

手形割引は手形が満期になる日を待たずに現金化する方法です。必要な書類と、満期が訪れていない手形を金融機関に持参し、買い取ってもらうことで現金を得ることができます。

審査の進捗状況や土日祝日を考慮する必要がありますが、最短3営業日程度で現金化できるでしょう。支払い期日が長期で設定されている場合や、すぐにでも現金が必要なときに選択肢のひとつといえます。ただし、金融機関によっては、新規の手形割引取引の場合、通常より長く日数がかかることもあります。

手形割引の注意点

手形割引は今すぐ現金が必要な場合に有効な手段ですが、受け取れる金額は額面そのままではなく、手形取立料と、支払期日までの利息(手形割引料)とを合算した手数料を引いたあとの金額になります。手形割引料が発生するのは、手形割引は、「手形を担保にした融資」という形になるからです。したがって、支払期日まで日数があるほど利息は高く、受け取れる金額は少なくなります。

「融資」という考え方になるのは、本来は手形の発行者が支払うべきお金を、振出人側が銀行にお金を建て替えてもらう形だからです。審査を行うのも、銀行からすると、手形の発行者の代わりに振出人に対し貸し付け(融資)をすることになるので、本当にお金を渡してもいいか、確認するためと考えられます。不渡りが出て、手形の発行者からお金を回収できなかったリスクを考えて、振出人から回収できるようにするためです。

利息(手形割引料)は銀行や金融機関によって異なりますが、約1.5~5.5%というケースが多いようです。手形割引料は、下記の計算式に当てはめて算出することもできます。

◎手数額面金額×手形割引利率×支払期日までの日数÷365日

また、手形割引を申し込んだ場合、申込者や手形振出人、裏書人の信用度を審査されます。あくまで「融資」という扱いになるからです。必ず現金化できるとは限らないことも留意しておくほうがいいでしょう。さらに、仮に手形割引した手形が不渡りになった場合は、受け取った現金を金融機関に返却する必要もあります。

その他、金融機関によっては手形割引の取引枠が設定されており、設定された枠を超えた場合は手形割引が利用できない場合もあります。

手形割引業者による手形の買取

手形割引は、金融機関以外に、手形割引業者を利用することも可能です。手形割引業者に申し込む場合も、支払期日前に買い取ってもらうことになります。

手形割引業者への申し込みに必要な書類は、業者によって異なります。業者によっては、電話やFAX等で申し込みできる場合もあります。事前に各業者へ確認しておきましょう。

手形割引業者は、申し込みから審査までスピーディな場合が多く、問題なければ最短で即日の現金化が可能なケースもあるのがメリットです。スタートアップしたばかりの会社の場合や、銀行に手形割引枠がない場合も現金化ができる可能性が生まれるなど、非常に効果的な資金調達方法になるでしょう。

ただし、手形割引業者に手形を買い取ってもらう場合も、手数料が差し引かれます。審査がスピーディな分、利息も高めに設定されていることが多いです。業者によってばらつきがあるものの、約3.0~20.0%とされています。

・金融機関と手形割引業者との違い

手形割引を依頼する場合、金融機関と手形割引業者との違いは、手数料の差以外に、審査で重視するポイントが異なるところにあると考えられます。

金融機関は手形を依頼した人の信用を重視する傾向があります。手形割引を申し込んだ人や振出人等の信頼性が低いと判断すると、審査に通りづらくなるでしょう。

一方、手形割引業者の場合は、手形を発行した側の信用度を重視します。したがって、依頼した側の経営状況が悪くても審査に通過する可能性は高い傾向にあります。

■ファクタリングを利用する

「すぐにでも手形の現金化をしたい、でも支払い期日の満期はまだ何か月も先」という状態で、手形割引の審査も通らなかった場合は、ファクタリングを利用する方法もあります。

ファクタリングは手形の買い取りではなく、売掛債権を買い取って現金を得る方法です。売掛債権の買い取りなので、審査では売掛債権に信頼性があるかどうかを重視されます。

手形割引とファクタリングとの違いは、不渡りが起こったときのリスクです。手形割引の場合、融資として扱われ、手形は担保のひとつです。万が一不渡りが起きた場合は自分の会社に返済の矛先が向いてくるリスクがあります。

一方ファクタリングは、債権の買い取りなので、万が一売掛先の会社が不渡りや未払いを起こしたとしても、ファクタリング会社の審査を通り、受け取ったお金を返す必要はありません。これをノンリコース型といいます。

ファクタリングも手数料が発生するため、手形の記載されている満額分を得ることはできません。ですが、審査はスピーディなので、問題ないと判断されれば短期間で現金を得ることができます。資金繰り改善のために、選択肢のひとつにはなるでしょう。

まとめ

手形を現金化する方法については、原則として支払日の満期まで待てば、指定された場所からお金を受け取ることができます。しかし、会社の状況によっては今すぐにでも現金が必要ということもあるでしょう。

そんなときは、手形割引を利用するのもひとつです。手形割引は金融機関や手形割引業者に依頼できます。それぞれ手数料は必要であり、満額を受け取ることはできませんが、審査に通れば短期間で現金化することができるでしょう。

ただし、手形割引は融資の一種です。もし不渡りが出た際は、振出人等に対し返済が求められます。万が一のリスクを避けるのであれば、ファクタリングの利用も検討してみてはいかがでしょうか。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。

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