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貿易取引のリスクを軽減できる輸出ファクタリングとは?

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輸出ファクタリングをご存知でしょうか。

輸出ファクタリングとは、海外の企業に対して輸出取引を行った際の売上債権に対して使われるファクタリング取引のことです。国内でのファクタリングは、債権を期日前に現金化して、資金繰りを改善するために使われるのが一般的です。

一方で輸出ファクタリングは、輸出取引を行った相手から代金が回収不能になるリスクを軽減するために使われます。 

今回は、輸出ファクタリングの概要と仕組みについて解説していきます。国際的な貿易事業を行っている会社や個人事業主の方は、ぜひ内容を理解いただき、経営安定のためにうまく活用できるようご検討ください。

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  1. 輸出ファクタリングとは?

輸出ファクタリングとは、貿易取引をする輸出企業が海外の企業に輸出する際、輸入する企業から確実に代金を回収するために利用するファクタリングサービスのことです。

貿易取引のリスクを軽減するために生まれたサービスで、近年少しずつ利用が広まりつつあります。

 輸出ファクタリングを取り扱う代表的な業者に、みずほ銀行系列の「みずほファクター」や三菱UFJ銀行系列の「三菱UFJファクター」があります。

  1. 国際取引にはリスクが多い

最近は中小企業や個人事業者であっても、海外企業と商品やサービスの売買を行う事業者が増えてきました。グローバル化が進む中でビジネスを拡大するために、海外を相手にすることは非常に有効な戦略です。

日本は長年デフレ環境が続いており、また将来的に人口減少が続くことが考えられます。そのため、これから国内市場が大きく成長していくことはなかなか考えにくい状況です。

一方海外では、東南アジアやアフリカなどで新興国の発展が続いており、巨大な市場が次々と生まれています。国内市場にとらわれず、海外にチャンスを求めることは今後ますます重要になっていくでしょう。

 しかし海外企業との取引は、国内とは違ったリスクが存在します。特に大きいのは、商品を輸出した相手から代金を回収できなくなるリスクです。これは、海外企業の信用力を調査するのが難しいことに起因しています。

 国内であれば、取引する相手の信用情報を事前に調査する手段はたくさんあります。新聞や雑誌などで情報を集めることや、帝国データバンクなど民間の信用情報機関を使うといった方法が一般的でしょう。

また知り合いを通じて評判を聞くのも、有効な信用調査の方法と言えます。 一方で海外企業の場合、日本にいながら相手の信用力を判断するのは難しいものです。特に小さい企業が相手ならば、信用情報を入手する手段もほとんどないまま取引をすることになります。

 こうしたことから、海外企業に対して輸出取引をするにあたっては、リスクヘッジの手段を準備しておくことが重要になるのです。

  1. 信用状による取引

 海外との輸出取引におけるリスクを軽減するための方法としては、信用状(L/C)を使うのが一般的です。

信用状(L/C)による取引とは、日本の銀行と海外の銀行を取引に仲介させることで、資金の決済を確実にする方法です。

具体的には、以下のような手順で取引を行います。

  • (1)  海外の輸入者(取引先)は、現地の銀行に信用状の発行を依頼
  • (2)  現地の銀行から日本の銀行に信用状を発行・送付
  • (3)  日本の銀行から輸出企業に信用状の発行を通知
  • (4)  輸出企業は海外の輸入者へ商品を出荷(船積)する
  • (5)  輸出企業は日本の銀行に対し、出荷証明書類(インボイス)を提示
  • (6)  日本の銀行から輸出企業に対して代金支払い

 このように、銀行を介して書類のやり取りを行うことで、銀行が支払いを保証する仕組みになっています。

 信用状による取引は、銀行が間に入ることで確実に代金を回収できるというメリットがあります。

一方で、信用状を発行するための審査は非常に厳格であるため、取引完了までに多くの時間がかかってしまいます。また、銀行に対する手数料が発生するので取引にかかるコストが高くなってしまうという短所があります。

こうした信用状による取引のデメリットを回避するために登場したのが、輸出ファクタリングです。

輸出ファクタリングの仕組み

 日本と海外の銀行が支払いを保証する信用状取引に対し、輸出ファクタリングではファクタリング会社が支払いを保証します 

具体的な取引の流れは以下の通りです。

  • (1)  輸出企業から国内ファクタリング業者に、輸入者の信用調査を依頼
  • (2)  国内ファクタリング業者から海外ファクタリング会社に信用調査を依頼し、輸入   者を調査
  • (3)  信用調査完了後、国内ファクタリング会社を通じて回答
  • (4)  輸出企業は後払い条件で商品を出荷し、出荷証明書類(インボイス)のコピーを   国内ファクタリング業者に渡す
  • (5)  国内ファクタリング業者は海外ファクタリング業者に出荷情報を通知
  • (6)  海外ファクタリング業者が輸入者から代金取り立て、国内ファクタリング業者に   送金
  • (7)  国内ファクタリング業者が輸出企業に資金支払い

 信用状取引で銀行が担っていた仲介者としての役割を、ファクタリング会社が行なっていることがわかっていただけるでしょう。

 輸出ファクタリングのメリット

1 確実に代金を回収できる

輸出ファクタリングの最大のメリットは、輸出にかかる売掛債権の回収が100%保証されることです。

取引前にファクタリング業者による信用調査があり、これに通ってさえいれば入金の遅延があってもファクタリング会社が保証してくれるのです。

 例えばみずほファクターの場合、海外輸入業者からの支払いが90日以上遅延した場合には、みずほファクターが原則100%支払いを保証すると明言しています。

2 信用状(L/C)が不要

 従来の信用状による取引では、銀行が支払いを保証してくれていました。そのため、発行にあたっては銀行からの審査を受けることになります。 銀行から融資を受けたことがあればお分かりでしょうが、銀行の審査は非常に厳格です。信用力が不足していれば審査に通りませんし、時間もかかってしまいます。

 輸出ファクタリングを使えば信用状の発行が不要になるため、こうした手間を省くことが可能です。

 3 相手企業の信用力が事前にわかる

輸出ファクタリングは単に売掛債権の回収を保証してくれるだけでなく、取引相手の信用状態を知るのにも役立ちます。上記の輸出ファクタリングの流れを見るとわかりますが、取引前にファクタリング業者に輸入業者の信用調査を依頼しています。 

これにより、自ら輸入者の信用状態を調査する手間を省くことができるのです。

 輸出ファクタリングのデメリット

1  信用状発行に比べ手数料が高い

輸出ファクタリングにかかる手数料の相場は以下の通りです。

  • ・信用情報調査費用 : 約1万円
  • ・保証料:出荷証明書類(インボイス)の金額に対し0.7〜2.0%/月

 これに対し、信用状発行にかかる費用相場は以下の通りです。

  • ・保証料:0.5〜1.0%/年
  • ・電信料:1万円程度

 保証料を比べると、輸出ファクタリングの方が高くなっていることがわかります。

 2  取り扱っている業者が少ない

信用状は、メガバンクや地方銀行など一般的な銀行であればどこでも取り扱っています。このため信用状による取引をしたい場合は、自分のメインバンクに相談すればほとんどの場合問題なく利用することができます。 

一方、輸出ファクタリングを提供する業者は、メガバンク直系のファクタリング会社くらいしかありません。輸出ファクタリングを行うには国際的なファクタリング業者のネットワークに参加しなければならず、相応の信用力を求められるからです。

 輸出ファクタリングはこんな場合にオススメ

輸出ファクタリングは、次のような人にオススメです。

  •      輸出取引による売上債権が増加しており、リスクヘッジをしておきたい
  •     取引前にしっかり信用調査をしておきたい

 まとめ

輸出ファクタリングは取り扱う業者も少ないため、普段利用する機会は少ないかもしれません。しかし貿易取引での代金回収が100%保証されるとあり、リスクヘッジとしては非常に有効なサービスです。これを機会に輸出ファクタリングを知っていただき、ぜひ利用を検討してみてください。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。