電子手形とファクタリングは何が違うのか

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電子手形とファクタリングは何が違うのか?4つのポイントで解説します

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個人事業主や中小企業の資金調達にはいろいろな方法があります。

ビジネスローンを使う方法や自己資金でまかなう方法などは、よく知られた資金の調達方法ではないでしょうか。他にも「ファクタリング」や「電子手形」といった資金調達の方法があります。
ファクタリングと電子手形は資金調達方法として「似ている」と勘違いされがちですが、実際はまったく異なった方法です。

ファクタリングと電子手形は手法としてどのようなところが違っているのでしょう。個人事業主や中小企業の経営者が資金調達をより柔軟に行うために、ファクタリングと電子手形の違いを解説します。

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ファクタリングと電子手形とは何か

ファクタリングと電子手形の違いについて見る前に、ファクタリングと電子手形の2つの資金調達方法についておさらいしておきましょう。

ファクタリングとは

ファクタリングとは、売掛金などの債権を譲り渡すことによって現金を入手する方法です。債権を譲り渡す方法には、債権の売却と債権譲渡があります。債権の売却または債権譲渡によって債権をファクタリング会社に譲り渡すことによって現金を得る。これがファクタリングになります。

ファクタリングについては、別の記事に基本的な知識をまとめました。ファクタリングの手法の違いについてもまとめた記事がありますので、参考にしてください。

 

電子手形との違いをおさえる上では「自分(自社)が持っている債権を譲ることによって資金調達する方法」と捉えればOKです。

電子手形とは

電子手形とは、ペーパーレスの電子債権のことです。

少し前まで、手形といえば紙媒体でした。しかし、紙媒体は発行のコストがかかることと、二重譲渡や紛失、盗難、流通面でのリスクやデメリットがあり、決して「使いやすく安心な方法」とは言えませんでした。手形のリスクやデメリットをなくすために生まれたのが電子手形です。

電子手形は、電子記録債権制度によって生まれた電子データの手形(電子債権)になります。電子データなので、紙としての実態はありません。電子手形は流動性リスクなどが改善され、かつ、管理の面でも便利になっています。

たとえば領収書があったとして、紙で管理することと電子データとして管理すること、どちらがより便利でしょうか。電子データの方が便利ではないでしょうか。それと同じです。紙を使わなくなったことにより、発行コストも軽減されています。

電子データとして管理され、紙としての実態がない手形(電子の債権)。従来の手形より進歩した電子的な債権。これが電子手形です。

電子手形をはじめとした電子記録債権については、別の記事に基礎知識をまとめています。より理解を深めるためにも、別記事にも目を通してみてください。

電子手形はデータなので、ネットの決済サービスで譲渡や割引、決済などができます。手形を紙媒体でやり取りするより、安心でスピーディな管理や支払い、現金化が可能なのです。

電子手形とファクタリングはなぜ混同されるのか

電子手形は期日前換金が可能です。ファクタリングも、ファクタリング会社に債権を譲ることによって債権の支払い期日前に換金することができます。

電子手形とファクタリングは「債権を期日前に換金できる」という点で非常に似ているのです。そのため、「ファクタリングと電子手形は同じなの?」「電子手形とファクタリングに違いはあるの?」と疑問に思う人は少なくありません。

電子手形とファクタリングは異なっています。事業や資金調達に電子手形やファクタリングを活かすためには、2つの違いを知って、より状況に合った方を選択することが重要なのです。ここからは、電子手形とファクタリングの違いについて見ていきましょう。

https://www.densai.net/pdf/Pamphlet.pdf
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電子手形とファクタリングの違いは4つのポイントで理解できる

電子手形とファクタリングには4つの違いがあります。
4つのポイントをおさえることで2つのサービスが異なっていることを明確に理解できるのです。

1.電子手形とファクタリングは債権が違う
2.電子手形とファクタリングは手続きの流れが違う
3.電子手形とファクタリングは利用者数が違う
4.電子手形とファクタリングは保証の面で違う

電子手形とファクタリングは債権が違う

電子手形とファクタリングは、「債権」の面で違いがあります。

電子手形は電子的なデータである債権を、システムを使って売却などのかたちで換金するかたちです。対象が電子債権なのです。

対してファクタリングは、広い範囲での債権を対象にしています。債権には給与債権や診療報酬債権、介護報酬債権、家賃債権、売掛金債権などいろいろな種類の債権があるのです。ファクタリングは会社やサービスによって差はありますが、これらの債権を幅広く換金可能であるという特徴があります。

ファクタリングで特に多いのは、売掛金の譲渡による換金です。売掛金の支払期日前に事業資金を調達したいと考えて、売掛金債権をファクタリングで資金調達するという手法がよく使われています。

手続きにより電子手形を換金する。
売掛金債権などの広い債権を換金する。

ファクタリングと電子手形では、このように換金の対象になる債権が異なっているのです。最終的に「換金によって資金調達に使える」という点では同じなのですが、換金対象がやや違うという話になります。

電子手形とファクタリングは手続きの流れが違う

電子手形は決済サービスを通じて換金が可能です。電子手形は期日になれば自動的に換金されます。電子手形の期日前の換金(「割引」といいます)は、業者や金融機関のサービスを通じて換金するのが基本的な流れです。

電子手形などの電子債権は基本的にデータなので、換金の手続きもネットがメイン。

割引の申し込みを行うと、換金(割引)サービスの提供先が見積もりや審査を行います。審査などをパスすれば、晴れて換金が可能です。サービスを通じて「電子手形を譲渡した」という記録をつけ、お金を受け取ることになります。

業者や金融機関のサービス提供側は、譲ってもらった手形の期日に支払い企業の口座から割引サービス提供側の口座へ自動的に入金が行われるという流れです。ネットで記録を書き換え、記録に沿って自動入金という感じになります。

ファクタリングの手続きは、2社間ファクタリングか3社間ファクタリングかによって、流れが異なるのです。

2社間ファクタリングは債権売買なので、ファクタリング会社と債権を有している人の「売ります」「買います」で契約が進みます。債権の売買契約書などを債権者とファクタリングが取り交わした後に売買金が支払われます。

3社間ファクタリングは債権譲渡です。債権者がファクタリング会社に債権を譲渡し、債権譲渡について債務者に通知が行われます。

電子データに譲り渡したことを記録して、譲り渡し先の口座へ入金が行われる電子手形とは、ファクタリングはやや違っているのではないでしょうか。

https://www.nichieisoko.co.jp/densai.html

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電子手形とファクタリングは利用者数が違う

電子手形は中小企業などの資金調達を便利にしよう。柔軟な資金調達を可能にしよう。手形を切る手間や費用を軽減しよう。このような目的でスタートしました。

電子手形は電子債権というデータで管理される債権ということもあり、管理などの面でも楽です。電子手形などの電子債権を使う企業は少しずつ増えていると言われています。しかし、現実として、電子手形より売掛金債権の方が多く、ファクタリングがよく使われているという実情があるのです。

株式会社 全銀電子債権ネットワークの『でんさいネットの仕組みと実務』によると、2016年の段階で売掛金債権と電子手形(電子債権)の比率は9対1。圧倒的に売掛金債権の比率の方が多いという結果でした。売掛金は204兆円規模で、圧倒的に売掛金債権の取引が多いという状況だったのです。売掛金債権が多いということは、その分だけファクタリング会社が資金調達の面で活躍するということになります。

日本電子債権機工株式会社によると、2019年9月末段階での電子手形流通残高は4兆3,223万円。売掛金債権の規模とは明らかに違っています。電子手形と売掛金債権の規模が違えば、電子手形の換金サービスと売掛金の換金サービスの利用者数も違ってくるのは明白です。

電子手形は、取引する会社のどちらもサービスの登録が必要になるというネックがあります。このネックや電子データへの「電子データだけで大丈夫か」「システムトラブルで消えたりしないのか」という不安感が電子手形普及の足を引っ張っていると言われているのです。

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電子手形とファクタリングは保証の面で違う

電子手形とファクタリングは保証の面においても異なっています。

ファクタリングの場合、譲った債権の債務者が支払いできなかった場合に責任を取る必要はありません。債権を換金した時点で関係は終了となりますので、保証は必要ないというメリットがあるのです。電子手形は違います。電子手形の発行会社が倒産などの理由で支払いできなくなった場合は、支払いの義務を負うことになります。このように、電子手形とファクタリングは保証の面に大きな違いがあるのです。

なお、電子手形の保障面でのデメリットは前から指摘されていました。そのため、「でんさいファクタリング」などのサービスでリスク対策が行われています。

https://www.bk.mufg.jp/houjin/dente/densai_factoring.html

最後に

電子手形とファクタリングには4つの違いがあります。

電子手形も割引などを使って換金可能なので、資金調達の面で「ファクタリングと同じではないか」と思う人も少なくありません。ですが、ファクタリングと電子手形は異なる資金調達方法です。

違いがあるということは、「どちらがより資金調達に向いているか」を検討する必要があるということ。中小企業の経営者や個人事業主が柔軟に使い分ける必要性も出てきます。

電子手形とファクタリングの違いから「自分の事業にはこのように使えそうだ」という部分にまで思考を発展させることが重要です。2つの方法を資金調達に役立てましょう。

 

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。